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チャプター 183

カイラン

「おかえりなさいませ、殿下!」

俺が通り過ぎると、人々が頭を下げた。同じ言葉が何度も何度も繰り返されたが、俺は無視した。昔は、注目されるのも、権力も楽しんでいた。王の俺に対する扱いがどうであれ、自分が何者かである、ひとかどの人間であると実感させてくれたものだ。

玉座を巡る戦いに勝利した後、それらの言葉は俺の自尊心をさらに満たしたが、今となっては何の意味も持たない。

誤解しないでほしい。俺は今でも――いや、これからリペリアの王になるのだ。それは決まっている。取るに足りない存在で終わるために、これまでのすべてを耐え抜いてきたわけではない。

王に敬意を表するため王宮の廊下を歩く俺...