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第176章

ヴァイオレット

ロックウォールの口からあの言葉が出てくるのを聞くのは、奇妙な感覚だったが、同時に素晴らしいとも感じた。

肩書や権力には大して興味はなかった。魔女、王女、コモンランドの世継ぎ――今となっては、それらは私にとって言葉以上のものではなかった。

だが、アデレードとアラリックの娘……。

それは心に響いた。アエリアスが言った時と同じ感情が蘇ってきたのだ。かつて彼らに近しかった人物からその言葉を聞くのは、奇妙なほど満足感があり、まるで再び確認されたかのようだった。

私は唇に浮かんだ微かな笑みを隠せなかったし、彼も同様だった。

「知っていたのか――」

「あの時、図書館で?」私は遮っ...