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10話

カイラン

もし俺が失いたくないものがあるとすれば、それは間違いなく支配権だ——そして今、俺はそれを完全に失っていた。

クソッタレ。

全て彼女のせいだ。

昨夜ろくに眠れなかったせいで頭が痛む。目を閉じるたび、見えるのは彼女だけだった。メガネ女だ。

あの大胆な態度、鋭い青い瞳、そして俺の部屋に入ってきて俺を拒絶できると思った時の、あの愚かな表情。俺を?

パニックになった俺は、やるべきことをやった——彼女にキスした。また。

全ては俺が主導権を握っていることを示すためだった。彼女にはその権利がない。

それどころか、全然違う。

だがあの小さなキスは忘れられない何かに変わり、今や俺はもっ...