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45話

「気に入らないわ」

カレブの険しい表情を見上げながら、私はネクタイの調整を終えた。「わかってる、愛しい人。わかってるわ。でも選択肢はないのよ。お父さんは大喜びしてるんだから」

「当然だろうな」カレブは長く息を吐き出し、私の赤いブレザーの襟に親指を当てた。「お前をこの厄介事に巻き込みたくないんだ。俺は—」

私は身を乗り出して彼にキスし、控えめな赤い口紅を彼の唇から拭った。「言ってくれたわね。大丈夫よ。それに、あなたがいるじゃない」

「わかってる」カレブは私をきつく抱きしめた。

「カレブ、二人ともシワになっちゃうわよ」と私は叱ったが、本当に怒ってはいなかった。怖かったし、抱きしめられて...