義理の兄と取り残されて

バンパーカー

ウィル

こいつらから逃げ切るのは無理だろう。万に一つも望みはない。だが、アクセルを目一杯踏み込むと、驚いたことに、カムリがマッスルカーみてえな勢いで飛び出したんだ。「なんだこりゃ？」俺は呟いた。

「ボンネットの下、純正じゃないエンジンでも積んでるんじゃないかしら」マッケンジーが頭上のハンドルを掴みながら言った。「ごめんなさい、あなたを信用してないわけじゃないの。ただ、ものすごいスピードだから、とっさに『やっべえバー』を掴んじゃったのよ」

俺は瞬きした。「『やっべえバー』？」

「ええ、これよ。なあに、あなたはなんて呼ぶの？」彼女は訊いた。

状況が状況だというのに、俺は笑ってしまった。「...