Read with BonusRead with Bonus

ジ・エネミー・オブ・エネミー

マッケンジー

「戻らなきゃ!」あたしは運転席の背もたれを叩いた。ウィルがびくっとする。「戻らないと! あの人、まだ生きてるかもしれないじゃない!」

「生きてはいない」とウィルは言った。

「そんなの分からないじゃない!」あたしは檻を殴りつけながら叫んだ。

彼は顔をこちらに向け、悲しそうで、厳しい表情を浮かべた。「いや、分かっているさ」

その言葉の持つ決定的な響きに、あたしの心は打ち砕かれた。座席にぐったりと沈み込み、両手で顔を覆うと、そのままくずおれるように小さくなった。「ああ、神様……」

「いい人だった」彼は静かに言った。「神もきっと、彼を両手を広げて迎えてくださるだろう」

檻越しに彼の後頭...