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972話

「あまりにも悪質すぎる」ジョセフの膝に置かれた手が、わずかに震えていた。

「ああ、かなり悪質だな」ハロルドはうなずき、ジョセフに複雑な視線を送った。「もし心当たりがあるなら、その人物には近づかないほうがいい。もちろん、本当に催眠術をかけられたわけではないことを願うよ。もしかしたら、すべては君の想像の産物かもしれない」

「ありがとう」ジョセフは立ち上がり、頭を下げた。

ハロルドの家を出た後、ジョセフは車を運転せず、ただキャンパス内を静かに歩き回った。長い脚が震えていた。実際、彼の心は完全に空白だった。

ジョセフ自身も、これらすべてが単なる彼の想像であることを願っていた。

彼は内心で自問...