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72話

私の心臓は制御不能に激しく鼓動している。男たちはきっとリビングで最近の出来事について話し合っているのだろう。その出来事は私に関係しているのだから、私も行って加わるべきなのに、代わりに自分の部屋で行ったり来たりして床を擦り減らしている。部屋に入った瞬間、何かが足りないことに気づいた。魔法だ。鍵をかけて保管されていたあの魔法が。今は鍵が開けられ、もうそこにはない。自由に動き回っており、それがどこにあるのか、何なのかもわからない。

禁断の魔法に誘惑される必要がなくなったことに、一部ほっとしている自分もいる。でもそれはほんの一部分だけ。残りの自分は不安でいっぱいだ。自分自身についてまだ知らないこと...