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95話

トリスタン

外の騒ぎで、コーヒーマグを口に運ぶ途中で動きを止める。同じように困惑した表情でマークを見やる。

「外で何が起きてるんだ?あの音は何だ?」と私は耳を澄まして外からの声を聞き取ろうとしながら尋ねる。

聞こえてくるのは、首都について何かを言っている女性の声だけだ。マグをちょっと強く置いてしまい、コーヒーが少しこぼれる。私はその散らかりを気にせず、食堂のドアから外へ向かう。マークが私のすぐ後ろについてきて、騒ぎの発生源へと向かう。

「ああら、今はそんなに強気じゃないのね、ジーン王?あなたが全能の王様だと思ってたけど、ただの妄想にふける王家のお尻にすぎないみたいね。首都を支配した...