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56話

イーライ

シェリー酒がグラスから少しこぼれ出る。マークがテーブルに勢いよく置いたからだ。彼の宣言の後、緊張した静けさが訪れた。なぜ彼がこれほど興奮しているのか不思議だ。ローズに関しては、私たちは皆同じ考えだと思っていたのに。

「誤解しているのはお前だろう。俺たちは王国のために戦っているんだ。ローズは王国の未来を宿している。彼女のために戦うことは、王国のために戦うことなんだ」とトリスタンが言う。

「そうだよ、落ち着けって。自分で勝手に結論出してるじゃないか。俺たちは皆、この王国の最善の利益を考えてる。ローズがここに連れてこられ、俺たち四人に身を委ねたのも王国のためだ。何が問題なんだ?」...