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16話

ローズ

部屋は耳をつんざくほどの静けさに包まれ、私が考え事に没頭しながら歩き回る足音だけが規則正しく床に響いている。

顔を上げると、花々で隅々まで飾られた豪華な寝室が目に入る。素晴らしい光景だ。普段なら何かロマンチックなものを感じるはずだが、今はただ息苦しい。

昨晩の情熱的なひとときで一時的に満たされていた記憶が、今は疑念と後悔を呼び起こしている。彼を満足させることができただろうか?今の私の頭の中はそれしか考えられない。

そんな思考は、ドアが素早く開く音で乱暴に遮られた。私は素早く振り向き、バスソルトの載ったトレイを手にしたウィーンが入ってくるのを見た。

彼女は私が寝室に戻ってい...