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第630話彼女は姿を消した

「いいから、慌てないで、大丈夫よ。ただ今いる場所を教えてくれれば、私が探しに行くから」ハーパーは不安げに彼女をなだめた。

『彼が無事で本当に良かった。将来、もし記憶が戻っても、罪悪感なんて感じないでほしい』それがモリーがカイルに伝えたかったことだった。

モリーはカイルのことをよく知っていた。いつか記憶が戻れば、彼はきっと自分を憎むだろう。

だが、今の、彼女についての記憶がないカイルは何一つ悪いことはしていない。

むしろ、彼女を覚えていないからこそ、彼は多くを背負わずに済んでいる。レネの指示に一歩一歩従うことができ、レネも彼を追い詰めることはないだろう。

そしてテイラーを取り戻したいモ...