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215話

「これはフランシスから盗んだの?」モリーは目に心配の色を浮かべながら、カードをテーブルの上に押し戻した。「いらないわ!返して。私のために無理しないで」

ハーパーは首を振った。「いや、このお金は彼からじゃないわ。大学時代に描いた絵を売ったの」

「あの絵を売ったの?」モリーの驚きはハーパーの告白よりも大きく響いた。その作品はハーパーの亡き母への捧げ物で、何ヶ月もかけて丹念に創り上げた愛の結晶だった。

当時、モリーはその一部をSNSに投稿した。すると次の瞬間、ある買い手が彼女のDMに滑り込んできて、取引を成立させ、アーティストに直接会いたがっていた。

彼女はハーパーに意見を求めたが、ハーパー...