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82話

アイフェ視点

ベインが部屋を出てからゾーンが中に飛び込んでくるまで、文字通り数秒しか経っていないように感じた。この状態で時間の感覚が鈍っていたのかもしれないが、本当に時間が経過していないように思えた。

「行くつもりなのか?」ドアのところに立ったままのゾーンは息を切らしていた。

ゆっくりと私は首を振った。「今の状態では出て行ける状況じゃないと思う。もし彼が本当に私がいなくなることを望むなら行くけど、もし放浪者や森に潜む他の危険に出くわしたら、戦う能力があるとは思えない」

私たちの世界は危険な場所だった。パックの中で暮らしていても完全に安全な人はいない。ましてや、より大きな集団の一...