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43話

ケイソン視点

私はキリアンを誰かの物語の悪役として考えたことはなかった。

でも…

最近、彼は少しずつ私の知らない人へと変わりつつあった。些細なことで冷静さを失い、自分でも日に日に平静を保つことが難しくなっていると認めていた。

私の意見では、最大の問題は彼が話そうとしないことだった。

子供の頃から、母はいつも「コミュニケーションはあらゆる関係の鍵だ」と言い続けていた。友情も含めて。でも最近、どれだけ彼に心を開いてもらおうとしても、彼は決して応えなかった。

「ここからでもお前の考えが聞こえるぞ」キリアンは、三時間も見続けていた地図から目を離さずに私に向かって不機嫌に言った。

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