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21: 触ってもいい?

カーラ視点

最初、あの無骨な男についていくなんて、絶対に悪い考えだと思っていた。なにしろ、私は彼のことを何も知らないのだ。

でも、少し黙って考えてみて、彼が言うお菓子作りのレッスンとやらに付き合ってみたところで、失うものは何もないと判断した。

彼のテントはザイオンが休んでいる場所からそう遠くなく、少なくともそのことには少し安心した。

万が一何かあっても、彼のもとへ駆けつけるのに遠くまで走る必要はない。

その男が自分のテントのそばで立ち止まり、私が入れるように垂れ布を引いてくれたとき、不思議な安堵の波が私を包み込んだ。

まるで、水中でずっと息を止めていて、ふいに、また呼吸ができるよう...