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10: ラストブレス

セイン視点

キーランの状態は、日単位や週単位ではなく、時間単位で悪化していた。一時間経つごとに、彼は狂気に近づいていくように見えた。サマンサとトリンがどれだけ助けようとしても無駄だった。ちくしょう、この俺でさえ、親友の一人がゆっくりと狂気の淵に沈んでいくのを、ただ傍観することしかできなかった。

ある時、キーランは口から泡を吹き始め、俺たちは皆、彼の命もここまでかと思った。だが、どういうわけか彼は持ちこたえた。

またしても最悪な一日が終わり、太陽が沈みかけていた。俺はもうこれ以上、あそこにいる気にはなれなかった。安らぎのひとときが、どんなに足掻いても助けられないあの哀れな男から離れる時間が...