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8: 彼の血には毒が

ザイオン視点

ちくしょう、とんでもねえ痛みだ……。

意識はまだあった。少なくとも、比較的――目を開けて星空を眺めているという意味ではなく――完全に気を失ってはいなかったから、そのおかげで痛みをたっぷりと味わい、周りの必死な声を聞かなくてはならなかった、という感じだ。

誰かが俺を地面から抱え上げ、どこかへ運んでいく――そいつにゲロをぶちまけてしまいそうな気分だったから、それは分かった。

あるいは、胃がむかついていたのは俺の中の狼の方だったのかもしれない。クソ、どこからが狼で、どこからが俺なのか、もう分からなくなっていた。痛みのせいで、その違いを判別する余裕すらなかった。

「ヒー...