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89: 彼は親しい。

ザイオン視点

ゆっくりと、キリアンがこちらに向き直り、ジョナサンに背を向けた。こういう時、俺は心の底からアルファという存在が憎くてたまらなかった――ただ対峙するだけで、自分より背が高いというクソみたいな事実が、認めたくないほどに気に食わなかったのだ。

見上げる相手がいる子供みたいには見られたくなかった。いや、対等でありたかったのだ。あの怪物が親友を乗っ取る前、俺たちがそうであったように。だが、キリアンの表情から察するに、かつてベインが俺に示してくれたような配慮を、こいつがするつもりはないのは明らかだった。

「女神の名にかけて、一体どんな考えで彼女をここに放置したのか問い詰めたいとこ...