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230話

カラ視点

私たちはなんとかトンネルから脱出できた。ついに、私たち二人は再び陽の光を浴びることができた。周りには木や茂みしかなかったけれど、少なくとも私たちは安全だった。

そうであることを願っていた。

ザイオンは一番近くの木に寄りかかり、脇腹を押さえていた。私は近くを歩き回り、痛みを和らげるための自然の薬になるものを探していた。

葉っぱを取ろうと身をかがめたとき、見覚えのある匂いを感じた。空気を嗅いでみると、最初は信じられなかったけれど、その匂いがより強くなってくると、間違いないと確信した。

思わず彼女の名前を叫んだ、彼女に聞こえることを祈って。一度、二度。深呼吸して三度目、よ...