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210話

ザイオン視点

冷たく湿った牢獄の壁が私を取り囲み、その圧迫感で窒息しそうになりながら、私は息を止めて廊下に響く足音を待っていた。

骨の芯まで痛みを感じ、傷だらけの体中の打撲や切り傷が刺すように痛んだ。しかし、その痛みの中に、もっと危険なもの、影に潜む何かがあった。

ベイン。

その名前を思うだけで背筋が凍りつく。私たちのパックを永遠に引き裂いた裏切りの苦い思い出だ。もはや親友は消え去り、命を預けられる唯一の人物もいなくなった。かつては彼のために銃弾も受け止めただろう日々があったが、今、彼が私の前に立つと、その存在に吐き気を催すばかりだった。

彼はかつて知っていた友人の捻じれた反...