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188話

ベイン視点

彼と戦おうとした。本当に。

しかし、かつては自制心や冷静さ、自己認識に誇りを持っていたはずの俺が、今はすべてを投げ捨ててしまった。

ザイオンを独房に連れて行って何かするつもりは最初からなかった。ただ少し脅かすだけのつもりだった。俺のメイトが無事かどうか必死で知りたかったということを、彼に理解してもらう必要があった。

俺が知る全ての中で、ザイオンは理解すべきだった。彼には理解できるはずだ。特に彼にはカーラがいるのだから。だが俺と違って、彼は毎晩メイトを腕に抱いて眠ることができる。一方俺は、ただ...感覚を麻痺させるために酒に溺れる日々だった。

だが今は手遅れだ。奴が...