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61話

講堂に着くと、赤いバーガンディ色のカーテン越しに観客席を覗き込む。双子の学校の子供たちはほとんどが人間で、両親も人間だから、私は素早く空気を嗅ぎ、会場内に狼の気配がないか確かめる…

いや、彼の冷たいタバコとウイスキーの匂いは全くしない。でも、風に乗って懐かしいレモンの香りがする。心配にもかかわらず、自然と笑みがこぼれ、視線は真っ直ぐに後方のエドガーへと向かう。彼は私を見ると、にやりと笑い、手を振る。

カーテンを閉じて、舞台脇の階段へと回り込み、急いで降りて講堂内へ入る。通路を駆け下り、エドガーを見つけるとすぐに彼に抱きついた。彼は軽く笑いながら抱擁を返してくれる。その際、私の勢いよい体から...