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581話

彼女が優しく彼の傷跡に息を吹きかけた後、パトリシアは彼の腰に腕を回し、彼に顔を寄せた。彼女の息が彼の肌に暖かく当たりながら、彼女は小さな声でつぶやいた。「吹いてあげれば、もう痛くないよ」。その声は徐々に小さくなり、やがて消えた。彼女の腕の力が抜けていき、眠りに落ちていった。

部屋は静かになり、二人の呼吸だけが聞こえていた。パトリシアの呼吸は深くて規則正しかったが、ジェームズの呼吸は重く、何かを抑えているようだった。

長い間ベッドを共にしてきたジェームズは、パトリシアが眠りに落ちた瞬間を知っていた。彼女の先ほどの興奮は疲れに変わり、アルコールの助けもあって眠りについたのだ。

彼はため息をつ...