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第1261話ウェディングナイト

殺到していた全員の動きが、ぴたりと止まった。

彼らはブーケを持つ手を見上げ、それがマリアだと分かると、皆一様に驚いて口を開けた。

フランシスは唇を尖らせ、不満げに言った。「なんであんたの手に渡るんだよ?」

ウォルターは誰かにぶつけられて痛む手首をさすりながら、悔しそうに言った。「そうだよ!こっちは足が折れそうになったし、手も何箇所か青あざだらけなのに、お前が取っちまうなんてな」

タイラーの目にも失望の色が浮かんでいた。

本来なら、あのブーケは彼が自らマリアに手渡すはずだったのだ。

なのに、マリアが自分で掴み取ってしまった。

またとない絶好の機会を逃してしまった。

唯一喜んでいたの...