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528話

深夜、ジョニーの真っ赤に染まった指が宙に凍りついた。

彼の目はローラに釘付けになり、視線を外すことができなかった。

そこに彼女は立っていた。月明かりの下、黒いドレスを纏い、長い髪が風に揺れ、その顔は闇の中でほのかに照らし出されていた。

彼は彼女の顔を両手で包み、お互いに抱き合いながら深く口づけしたあの時々を思い出した。

しかし今、彼にできることは遠くから見つめることだけだった。

「ローラ」彼は切なさを滲ませた声で呼びかけた。

ローラも彼に気づいていた。彼女は数秒間彼を見つめた後、くるりと身を翻してテラスから立ち去った。

ジョニーの瞳は彼女の姿が消えても、まだそこに彼女の存在が...