グラハムは頭の中が真っ白になった。今まで見た中で最も美しい雌狼が目の前に立っていた。彼は彼女の体を目で追った。小柄で引き締まっているのに、その曲線美は彼の喉を乾かし、下半身を熱くさせた。

顔を見上げた時、氷のように青い瞳と目が合い、一瞬呼吸が止まった。

彼が凍りついている間、内なる狼は歓喜し、前に進もうと彼を押し動かそうとした。彼女も同じように驚いた様子だった。二歩踏み出すと、彼女のすぐ近くまで来ていた。

「つがいだ！」彼は低く唸り、視線を外すことなく言った。

ベラはオメガ、群れの中で最も低い地位にいた。しかし彼女は自分の立場を受け入れていた。一方グラハムはアルファ、最高位に立つ者。強く、獰猛で、群れのために最善を尽くすことを誓っていた。彼の中では、つがいなど考える余裕はないはずだった。しかし二人は、群れとはぐれ狼たちの間で起きた、かつてない大きな争いの最中で出会ってしまう。


オメガからルナへ

ベラはカートに最後の物を置き、残りのビールを小さな冷蔵庫に入れた。彼女は部屋からカートを転がし出し、ウィンストンと少し話してから部屋に戻った。フロントデスクに電話をかけ、誰かにカートを取りに来てもらうよう頼んだ。
グラハムは就寝の準備をしていて、ベラは急いで洗面を済ませた。今日は一度休憩したにもかかわらず、彼女は疲れ切っていた。グラハムは彼女のために自分のTシャツを一枚出していた。
彼女は明日着る服がないことに気づいた。ため息をついて、今夜着ていたドレスでなんとかしようと決めた。少なくとも自分のアパートに戻るまでは。
あるいは買い物に行くべきかもしれない。どのみち、彼女はもっとルナとして...

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