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チャプター 310

エリアス視点

王国に近づくにつれ、まだ血の匂いが漂っている。今はもう微かだが、それでも胃が締め付けられるほどには強い。隣のエヴェレットとイーサンに目をやると、二人とも俺が浮かべていると分かっているのと同じ心配そうな表情をしていた。

誰も口を開かないが、その必要もなかった。緊張が重くのしかかり、俺たちの間の沈黙がすべてを物語っていた――手遅れかもしれない、と。クソッ、そうでないことを祈る。まだ何とか助けられることを願う。

最初に沈黙を破ったのはエヴェレットだった。「終わったと思うか?」彼の声は低く、自信なさげだった。

「分からない」俺は正直に答え、前方の道に目を凝らした。城が見えてきて、...