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第二百九章

カイデン視点

洞窟は冷たく湿っているが、もう何も感じない。何時間もここで待っている。ごつごつした壁に背をもたせ、脚を前に投げ出して座ったままだ。

思考が堂々巡りをしている。すべてを繰り返し再生する。父の裏切り。評議会の計画。追手ども。そして今……このローグの軍勢。

焦れていた。ローグはとっくに戻っているはずだ。もし嘘だったら? 逃げたとしたら? 結局誰も来ないとしたら? 指がぴくりと動き、拳を握りしめ、無理やり平静を保とうとする。もしすぐ現れなければ、俺は――

足音だ、クソ、ようやくか。ローグが洞窟に入ってくる。その顔には奇妙な興奮と疲労が混じり合っている。服は汚れ、髪は乱れているが...