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チャプター 259

「コンスタンティン視点」

森は血の匂いがする。

ドミニクの血だ。

かすかだが、俺なら何処にいてもわかる。その痕跡を追いながら、俺は心臓を高鳴らせ、生い茂った下草をかき分けて進む。一歩踏み出すごとに足が重くなり、最悪の事態が頭の中を駆け巡る。

前回手当てをした時は、状態が良くなっていたはずだ。あの傷——神よ、あの傷——はようやく治り始めていた。俺が自ら確認したんだ。彼が「うるさい」と言っても、ずっと目を離さなかった。だが今?今また彼の血の匂いが空気中に漂っている。それも、あるべき以上に強く。

「くそっ、ドミニク」俺は息の下で呟き、足を速める。

痕跡は未開の地へと深く続き、周囲の空気は...