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第二十四章

「エリアス視点」

私の周りの世界は静かで暖かい、まるで雨上がりの夏の夕暮れのよう。自分がどこにいるのかわからないが、空気は清々しく、生き生きとしていて、何か懐かしいものの香りを運んでくる——野の花と大地の香り、そしてはっきりとは言い表せない甘さ。それは暖かい毛布のように私を包み込み、引き寄せ、落ち着かせてくれる。胸が締め付けられ、理由もわからないのに心臓が激しく鼓動しているというのに。

一歩前に踏み出すと、景色が変わる。目の前に地平線が広がり、黄金色の夕日が柔らかな紫や青に溶け込んでいく。空は果てしなく感じられるが、そよ風に優しく揺れる花々で満ちた起伏のある草原によって地に繋がれている。美...