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217話

アシュリー視点

儀式の間の扉がすでに近づいている。遠くからでも、木に刻まれた彫刻が見える。あれは現王朝以前の歴代の王の力と伝統を象徴していると、かつてある侍女が教えてくれたものだ。

近づくにつれ、私の膝はがくがくと崩れそうになる。王様の手の握りはさらに強くなり、まるで私が逃げ出すのを心配しているかのようだ。正直に言えば、それこそ私がしたいことだ。体中の全ての細胞が、振り向いて走り去れと叫んでいる。

カイデンはすでに扉の前で待っていて、行ったり来たりしながら、時計をちらちら見ては何かを呟いている。いらだっているように見えるが、もちろん、私たちが近づいているのに気づくと、偽りの幸せな表情を浮...