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172話

カイデン視点

人間のグループから教えてもらった方向に向かいながら、興奮が内側から湧き上がってくる。

足取りが少し弾み、歩くというより跳ねているような感じだ。

この状況で唯一残念なのは、ポケットの中で携帯が震え続けていて、それが気分を台無しにしていることだ。

くだらない会話をする時間じゃない。実際、会話をする時間なんて全くないんだ。

今この時点で誰からかもしれない。父かもしれない、ようやく俺がいなくなったことに気づいたんだろう。なるほど、結局俺の不在に気づくのに何年もかからなかったわけか。

次の発信者はスコットかもしれないが、彼からの電話も今は無視すべきだろう。父が俺が彼の電話に出る...