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15話

アンノ視点

私は彼女の手を何度も掴もうとするが、握りしめるたびに、彼女の手は私の掌からすり抜けていく。この動作が何度も繰り返され、もう数え切れないほどだ。どれだけ頑張っても、彼女を掴んでおくことができない。

この状況で最悪なのは、アッシュが嵐を嫌っていると言ったことだ。単なる嫌悪ではなく、恐怖なのだろう。彼女は怯えている。どれだけ勇敢な顔をしようとしても、その身体の仕草に表れている。

最初の稲妻が走り、雷鳴が地面を揺るがした瞬間、彼女は全く別人になった。自信と冷静な態度は消え、明るい瞳に隠された純粋な恐怖に取って代わった。

そして悲しいことに、馬鹿げたことに、手遅れになって気づいた。ア...