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112話

イーサン視点

警備員は私を階段の上へ、そして式典会場へと案内する。ドアの前には複数の女性たちが立ち、何かを熱心に話し合っていて、私たちが近づいていることに気づいていない。

私はこのチャンスを利用して、まるで母親を見つけたかのように警備員に合図するため、「ママ」と何度も繰り返し唱え始める。ありがたいことに、この愚か者は私を早く手放したくて仕方がないようで、私を女性たちの方へ促すチャンスを逃さない。

「さあ、行っておいで。お母さんがそこにいるなら、そばにいなさい。さっきみたいに敷地内をうろうろしちゃダメだよ。迷子になったら、助けてくれる警備員がいないかもしれないからね」彼は弱々しい理解を示す...