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110話

アシュリー視点

私は見知らぬ場所で目を覚ます。周囲には静寂と暗闇しかない。何が起きたのか思い出そうとするが、私の記憶はすべて一つの巨大な虚無の塊と化し、それがさらに混乱を招くだけだ。

ゆっくりとベッドらしきもの、あるいは単なるマットレスかもしれないものの上で体を起こし、重たい毛布を蹴り飛ばす。手を伸ばして、寝ていた場所から降りながら周囲を手探りし、どの方向かも分からないまま前に進む。

手が壁らしきものに触れるとすぐに、それを感じながらゆっくりと右側に歩き始める。ドアか、少なくとも窓につながる正しい方向であることを願いながら。

やがて目が暗闇に慣れて、周囲の形くらいは見えるようになるだろ...