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507話

シャロンは顔を上げてセブの瞳に宿る深い悲しみを見て、思わず胸が痛んだ。

彼女は手を伸ばしてセブを抱きしめ、「三人一緒にいられるなら、それだけで十分よ」と囁いた。

二人は静かに抱き合い、その瞬間だけ時が止まったかのようだった。

しばらくして、ドアをノックする音が聞こえた。

セブはシャロンから離れ、「どうぞ」と声をかけた。

ポールが入ってきて、セブに今日の進捗を報告した。「スミスさん、従業員の給与と退職金はすべて支給されました。彼らは今日の仕事が終わったら荷物をまとめて帰ります。株主たちもお金を受け取って帰りました」

話しながら、ポールの目が赤くなった。

長年勤めてきた会社がいつか倒...