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368話

カークは笑みを浮かべた。「しばらく周りをうろついていたんだ。電話中だったから、邪魔したくなかったんだ」

「そう」とアリアナは言ったが、彼女の目には一瞬イライラの色が浮かんだ。

つまり、カークは彼女の電話を盗み聞きするのに十分な時間そこにいたということだ。

以前はカークのことを悪くないと思っていたが、今ではかなり不快に感じていた。だって、他人の電話の会話を盗み聞きするような人間がまともなわけがないじゃないか?

彼女の気分の変化を感じ取り、カークはもう一度試みた。「本当にごめん。聞き耳を立てるつもりはなかったから、外にいたんだ。でも君、ちょっと声が大きかったから、たぶん隣の研究室にいても聞...