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96話

エバ

私は寝室の窓から、見張り役たちが敷地裏の森へと移動していく姿を静かに見ていた。耳にした囁き声によると、王子様が一人で出かけてしまったらしい。王子様が一人の時間を欲しがるのは普通のことだよね?と思ったけれど、ベータのマイカとデルタのノアが男たちに命令を飛ばす様子を見ると、彼らが何かを恐れていることがわかった。王子様に何か異変があったのだろうけど、それは私の知ったことではない。私の務めはただ彼のメイトを守ることだけ。

いらだちのため息をつきながらベッドに倒れ込み、ロザリンを守るよう命じられる前の私の人生を思い返した。完璧ではなかったし、理想的な生活でもなかったけど、最後には何か良...