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149話

午後の陽光が体育館の窓から差し込み、空っぽの器具に長い影を落としている。空気は静まり返り、あまりにも静かだ。何か違和感があるという気持ちを振り払えない。背筋に這い上がる不安感を感じながら、胸の上で心地よく眠るイーサンを抱きしめている。

ライリーが予想より長く出かけている。隣のカフェに軽食を買いに行くだけのはずだったが、まだ戻ってこない。体育館のドアに目をやると、時間を確認するために携帯を見る度に、心臓の鼓動が少し速くなる。もう20分近く経っている。

「大丈夫だ、ネイト、落ち着け」と自分に囁きかけ、心の隅をむしばむ不安を払いのけようとする。ライリーはきっと誰かと話し込んでいるか、何かに巻き込...