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44話

彼女にキスするつもりだった。

また。

エリンは彼の目に浮かぶ表情を見た。彼女にキスしようと勇敢に決めたのは薬のせいではなかった。薬がしたことといえば、まっすぐ考える能力を奪い去り、その下にある抑制のきかない衝動だけを残したことだった。彼女はそれを知っていながらも、エリンはあえてそのことから目を背けることにした。今だけは、薬のせいにしておこう。

彼は彼女の顎を上げ、口を彼女の唇に寄せ、深く、意図的に、とても完璧にキスしたので、彼女は彼を止めようとすることをすっかり忘れてしまった。彼女は彼を止めたくなかった。いつから彼のキスを望むようになったのだろう?

彼の手は彼女の顎から頬へと移動し、...