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61話

ララ

私は急いでドアの方へ向かいながら、時計に目を走らせた。ようやく最後の客が帰ったところだ。土曜の朝、もう2時近い。明日はまた午後5時には戻ってこなければならない。土曜日は昨日よりマシかもしれない。スケジュールの混乱もないかもしれないし、一人で全部を切り盛りする必要もないかもしれない。あの背の高い、浅黒い肌の、ハンサムな男性にまた会えるかもしれない。

思わず鼻で笑ってしまった。そうだね、その可能性はどれくらいあるんだろう?

「ララ」

私はバーのカウンターに肘をついて身を乗り出しているケンジーの方に目を向けた。「なに?」

「頼みがあるんだ」と彼は静かに言った。

「いいわよ」これ以上...