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52話

ドアが開いた時、私の目はそちらへと飛んだ。デイビッドだけだと分かって、ほっとした。彼は部屋の中を素早く見回し、そして私の目と視線が合った。彼が私の方へ歩いてくる時、目に楽しそうな光が宿っていた。

「なぜここに隠れているんだ?」

「隠れてなんかいないよ」私はコンピューターに向き直りながら言った。「調べ物をしているだけだ」

「何について?」

ため息をついて、私は前かがみになりコンピューターの画面を彼に見せた。デイビッドは身を乗り出した。彼の顔からゆっくりと笑みが消えていった。

「くそっ」彼は呟いた。「それのことを忘れていた」

「ああ、私もバルがメルと電話で話しているのを聞くまで忘れていたよ」

「彼...