「しばらくの間、君を離れた場所に行かせることにした」とデヴォンが言った。

胸に痛みが走る。もう私はここにいらないということなのか。

これは赤ちゃんを望んでいないという遠回しな言い方なのだろうか。それとも、面と向かって言うのが怖いだけなのか。

デイビッドが背後から近づき、腰に腕を回したとき、私は身体を強張らせた。

「僕たちも望んでいるわけじゃない。でも今は他に選択肢がないんだ」とデイビッドは優しく言った。

「一緒にいられるはずよ」と私は囁いたが、彼は既に首を横に振っていた。

「ヴァル、君は妊娠しているんだ。誰かが食べ物や飲み物に何かを混入させても、気付けない可能性がある。この問題が解決するまでは、できるだけ遠くにいてもらうべきなんだ」

「だから見知らぬ人のところに送り込むの？どうしてその人たちが信用できるの？一体誰が―」

＊＊＊＊＊

私はライカンの世界に生まれた人間だ。

母は出産時に亡くなり、父もすぐに戦いで命を落とした。残された家族は叔母だけで、彼女は私を引き取らざるを得なかった。このライカンの世界で、私は歓迎されない存在だ。叔母は重荷である私を手放そうとした。そしてついに、私を受け入れてくれるパックを見つけた。

二人のアルファが統治する、ライカン最大のパックだ。私は彼らにも拒絶されると思っていた。しかし、予想外の展開となった。彼らは私をメイトとして望んでいたのだ。でも、二人のアルファを相手にすることができるのだろうか。

これはスージー・デ・ベールによるシリーズ作品です。「メイテッド・トゥ・アルファス」と「メイテッド・トゥ・ブラザーズ」を含み、今後シリーズの続編も収録予定です。シリーズの各作品は著者ページで個別に入手可能です。


アルファたちとの絆 (シリーズコレクション)

「ヴァル！」
彼の声が森中に響き渡った。私は足を止め、耳を澄ますために首を傾けた。背後から聞こえる音に、私は振り返った。デイヴィッドが躓きながら空き地に現れた。私は彼に向かって駆け寄り、彼の胸に飛び込んだ。彼は唸り声を上げながら私を受け止め、強く抱きしめた。
「大丈夫？」
私はうなずき、彼をさらに強く抱きしめた。「彼女があなたを撃ったわ。怪我してない？」
「大丈夫だ」彼は呟いた。「誰かに頭を殴られたんだ」彼は体を離し、私の頬に手を当てた。「すごく怖かったよ」
「戻らないと」私は彼から離れながら言った。「パックが危険な状態よ」
彼はうなずき、狼に姿を変えてから、私に背中に乗るよう身振りで示した。...

48話