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87話

エロスは親友の言うことを聞く気がせず、病室に飛び込んだ。イヴはまだ眠っており、数人の医師と看護師が彼を見る目は、まるで世界一の狂人を見るかのようだった。

「出ていけ!」彼は怒りに任せて吠え、医療スタッフを驚かせた。全員が部屋を出て行き、王とその番いだけが残された。エロスはベッドの横にひざまずき、彼女の手を取って唇に運んだ。普段は強いエロスだが、もはや感情を隠すことができなかった。数滴の涙が頬を伝った。こんな状態の番いを見るのは心が砕けそうだった。もちろん、エロスは彼女の状態の一因が自分にあることを知っていたが、彼がしたことはただイヴの健康を確かめることだけだった。彼女は自ら進んで彼についてく...