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第1016話バーナードはここにいる

ヴァージニアは、自分が映画の主役を射止められなかったことを、クリスティーナにだけは絶対に知られたくなかった。

以前にも何度かカーティスにその話を持ちかけたことがあったが、残念なことに、カーティスはいつもその役は彼女には合わないと言い、決断を下していなかったのだ。

ここ数日、カーティスが適役の女優を見つけ、今日契約を結ぶ予定だという話を不意に耳にした。

一体誰が自分より優れているというのか、その目で確かめたかった。

「コールドウェル監督の映画? もしかして『ヴァレリア・ソング』のことかしら?」

ヴァージニアはやや警戒しつつ尋ねた。「どうしてご存知なの? ところで、まだラッセルさんには伺っていな...