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633話

間もなく、階段の上に見慣れた姿が現れた。

エリザベスが顔を上げると、それがエスミーだと分かった。

エスミーは白いドレスに厚手のコートを羽織り、革のブーツを履いていた。そして機嫌が良さそうに見えた。

彼女はゆっくりとエリザベスに近づき、向かい側に腰を下ろした。

ウェイターがラテを運んできて、エリザベスはエスミーに尋ねた。「いつもの、ラテね?」

大学時代、彼女はいつもエスミーのためにラテを注文していた。エスミーのお気に入りはラテだったから。

「実際に会ってくれるなんて」エスミーは少し驚いていた。彼女の口調はとても冷静で、表情は無かった。

あの事件以来、彼女は魂を失ったかのようだった。...