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390話

デクランが戻ってくると、エリザベスがコートでラケットを振っているのが見えた。彼の顔に安堵の表情が広がった。

彼の記憶の中のエリザベスはいつもエネルギーに満ち溢れ、人生の雑音に足を取られることなく、自分のリズムを崩さない人だった。

エリザベスの体力は確かなもので、カイルに難なくついていっていた。

もちろん、エリザベスはカイルが手加減しているのかどうかわからなかった。

「女性がこんなに上手にテニスをするのは珍しいね」とカイルは、率直に褒めた。

エリザベスは水を一口飲み、彼に視線を送った。「ありがとう」

「今度一緒にプレーしようよ」とカイルはラケットを持ったまま、リラックスした口調で、決...