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96話

エリック・ロックウッド

信号で車を止め、メインの携帯電話の電源が切れているか確認した。追跡されないようにするためだ。使い捨て携帯を取り出し、Bluetoothイヤホンに接続した。私が持っているのは自分のものを含めて10個の黒いサファイアだけだ。残りの9個を渡す相手は、信頼できる狼であり、かつ私の計画を助けられる狼でなければならない。

今の自分になるために行った恐ろしいことの数々を考えると、もし黒い狼が戻ってきたら、私は罰せられ、これまで苦労して築き上げたものすべてが一瞬で消えてしまうだろう。幸い、祖父も父も同じように考えていた。両親が生前に編纂した研究資料を読み、父が母と番になった理由を知...