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80話

私はキッチンで働いていた。食べ物の匂いで自分の匂いを隠せるからだ。時々エリクサーを買うこともあったが、最近は値段が高騰して定期的に購入するのが難しくなっていた。狼たちがホテルにいると分かっている時だけそれを使い、今夜も念のために小さな瓶をズボンのポケットに入れていた。

本来なら休暇中のはずだった。クリスマス・ボールと重ならないように手配していたのだが、残念なことにキッチンは人手不足で、ボールルームは満員だったため、穴埋めとして呼び出されてしまった。政治はいつも皆を結びつけるようだが、同時に溝も作る。裕福な少数派がいつも上に立ち、不十分な多数派はいつも底辺にいる。

エリックもアシーナもここに...